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被相続人居住用家屋等確認書は、空き家の3,000万円控除を確定申告で受けるときに添付する書類です。家のある市区町村に、売却(引渡し)が済んでから申請します。様式は売り方で1-1・1-2・1-3の3種類です。住民票の除票や売買契約書の写しに加え、電気・水道の使用中止日など、空き家だったことを示す書類が要ります。
この記事では、国土交通省の通知・様式と国税庁の案内をもとに、申請する側の目線で手順を整理します。
- 確認書はどこで、いつ、どうやって申請するか(窓口・郵送・委任状)
- 様式1-1・1-2・1-3の選び方と、令和6年1月1日以後の譲渡で変わった点
- 必要書類の一覧と、原則コピー不可の書類
- 空き家だったことを示す書類と、老人ホーム入所時の追加書類
- 申請書の記入例(どの欄に何を書くか)
- 当サイトの市区ページから集めた6市の窓口・日数・郵送の比較と、確定申告までの日程
1. 被相続人居住用家屋等確認書とは|控除の申告に添付する市区町村の書類
親が一人で住んでいた古い家を相続して売ると、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があります。正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。
この特例は、確定申告をしないと使えません。国税庁No.3306は、申告書に添える書類の一つに「被相続人居住用家屋等確認書」を挙げています。売った資産の所在地の市区町村長が交付する書類です。
特例の要件そのものや税額の計算は、空き家の3,000万円控除の解説でまとめています。この記事は、確認書を取る手続きに絞ります。
市区町村が書類で確かめること
国土交通省の通知では、市区町村は申請者が出した書類をもとに、次の点を確かめて確認書を交付するとされています。
- 相続の直前に、親(被相続人)がその家に住んでいたこと
- その家に、親以外に住んでいた人がいなかったこと
- 相続から売却まで、事業・貸付け・居住に使っていないこと
- 取壊しや耐震改修をした場合は、その時期
- 家と敷地をどちらも相続した相続人の数(令和6年1月1日以後の譲渡)
市区町村は、空家等のデータベースや、必要に応じた申請者への聞き取りも使って確かめます。書類だけで判断しきれない場合は、事情を聞かれることがあります。
確認書が出ても、控除が決まるわけではない
確認書は、市区町村が「書類で確かめた」ことを示すものです。家の建築時期や売却代金1億円以下などの要件は、税務署が申告書で判断します。
確認書の交付を受けても、他の要件を満たさなければ特例は使えません。適用できるかどうかは、契約の前に税理士や税務署へ確かめておくと安心です。
手続きの全体像
| 順番 | やること | 相手 |
|---|---|---|
| 1 | 売り方(家付き・取壊し後・売却後に工事)を決める | 家族、不動産会社、税理士 |
| 2 | 空き家だったことを示す書類を残しておく | 電力・水道・ガス会社など |
| 3 | 売買契約・引渡し(様式1-3なら工事の完了) | 買主、不動産会社 |
| 4 | 確認書を申請し、交付を受ける | 家のある市区町村 |
| 5 | 翌年2月16日から3月15日に確定申告 | 自分の住所地の税務署 |
2. どこで申請する?|家のある市区町村へ。窓口・郵送・委任状

申請先は、売った家と敷地がある市区町村です。自分の住所地や、親が亡くなった病院の所在地ではありません。税務署でもありません。
国土交通省の資料でも「家屋が所在する市区町村に申請」と案内されています。遠方に住む相続人が多いため、郵送で済むかを最初に確かめるのが近道です。
当サイトの市区ページに載っている6市の比較
担当課や日数は、自治体ごとに違います。当サイトの市区ページに書いた各市の案内から、6市を並べました。表にない事項は、各ページに記載がないものです。
| 市 | 担当課 | 交付までの目安 | 郵送 | その他の案内 |
|---|---|---|---|---|
| 東京都八王子市 | 住宅支援課(本庁舎5階) | 書類がそろってから通常2〜3週間。確定申告期は1か月以上の場合あり | 郵送申請可。受取は切手付き返信用封筒 | 発行料は無料。相続人ごとに申請。代表者の申請は委任状が必要 |
| 神奈川県横須賀市 | まちなみ景観課 企画・住まい活用担当(分館3階) | 通常1〜2週間 | 郵送申請可。来庁時は電話で予約 | 相続人ごとに申請書を作成。代理人の受取は委任状等。様式の郵送送付はしない |
| 埼玉県熊谷市 | 安心安全課空家対策係 | 受付から到着まで通常10日〜2週間 | 郵送または持参 | 不備があるとさらに日数がかかる |
| 千葉県野田市 | 市民生活課 | おおむね1週間。即日交付なし | 郵送交付は返信用封筒と110円切手 | 複数の相続人はそれぞれ申請 |
| 千葉県佐倉市 | 住宅課 | 1週間〜10日程度 | 郵送申請は事前に相談。受取は切手付き返信用封筒 | まとめて申請しても、各申請書に添付書類一式 |
| 千葉県香取市 | 都市整備課住宅班 | 1週間程度 | 郵送申請可。返信用封筒と日中の電話番号 | 譲渡年月日で様式が異なる。手数料は担当課へ確認 |
6市の目安は、おおむね1週間から3週間です。手数料は、八王子市が無料と案内しています。他の5市は、当サイトのページでは確かめられていません。
担当課の名前は、住宅系、防犯・安全系、市民生活系とばらばらです。空き家バンクの担当と別の課になる市もあるため、課の名前まで確かめてから送ります。
郵送で申請するときの準備
6市とも、郵送での申請か受け取りを案内しています。ただし、事前の相談を求める市もあります。郵送するときは、次の点を準備しておくと戻りが少なくなります。
- 申請書と添付書類一式(原本が必要な書類に注意)
- 宛名を書き、切手を貼った返信用封筒
- 日中につながる電話番号(不備の連絡用)
- 提出書類の控え(返却されない市があるため)
香取市は、配達の記録が残る方法での送付を勧めています。返信を特定記録や書留にするなら、その分の切手も封筒に貼っておきます。
委任状と代理申請
国の様式には、代理人や委任状の欄はありません。代理で申請・受取できるか、委任状の書き方は、市区町村の運用で決まります。
八王子市は、代表者がまとめて申請するときに委任状が必要としています。横須賀市は、代理人が受け取るときに委任状等をそろえるよう案内しています。司法書士や不動産会社に頼む場合も、先に担当課へ様式を確かめます。
相続人が複数なら、一人ずつ申請する
申請書の申請者欄は一人分です。兄弟で家を共有して売った場合は、特例を使う人がそれぞれ申請するのが基本です。6市のうち4市が相続人ごとの申請を案内し、佐倉市も申請書ごとに添付書類一式を求めています。
兄弟で売るときの進め方は、相続人が複数いる実家の扱いでも整理しています。
3. 様式は3種類|1-1・1-2・1-3の選び方
国土交通省は、令和6年1月1日以後の譲渡について、売り方ごとに3つの申請様式を示しています。どの様式を使うかは、売買契約の内容で決まります。
| 売り方 | 様式 | 措置法35条3項 | 様式で増える記入欄 |
|---|---|---|---|
| 家を残して売る。売る時点で耐震基準に適合している(耐震改修済みを含む) | 様式1-1 | 第1号 | なし(基本の欄のみ) |
| 家をすべて取り壊してから、土地を売る | 様式1-2 | 第2号 | 家屋の取壊し・除却・滅失の日 |
| 家付きで売り、翌年2月15日までに耐震改修または取壊しをする | 様式1-3 | 第3号 | 耐震基準に適合した日、または取壊し等の日 |
様式1-3は、主に買主が売却後に解体や耐震改修をする場合に使います。古い家を現況のまま売り、買主が建て替える取引が、この形に当たることがあります。
令和6年1月1日以後の譲渡で変わったこと
令和5年度の税制改正で、特例の適用期限は令和9年(2027年)12月31日まで延長されました。あわせて、確認書の手続きも次の点が変わっています。
- 売却後に耐震改修や取壊しをする場合(様式1-3)が新たに対象になった
- 申請書に「相続人の数」の欄ができ、3名以上なら控除の上限が2,000万円になった
- 市区町村は、家と敷地を相続した相続人の数も確認するようになった
国の新しい様式は、令和6年1月1日以降の譲渡に限って使うと注記されています。令和5年12月31日以前の譲渡は、国土交通省のページに別の旧様式が残されています。
様式の入手方法
国の様式は、国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置」のページからWord形式でダウンロードできます。市区町村が独自の様式や記入例を公開していることも多いため、申請先のページを先に見ます。
4. 必要書類の一覧|様式ごとの違いと原本の扱い

申請書には、市区町村が使う「提出書類の確認表」が付いています。確認表に並ぶ書類が、そのまま必要書類の一覧です。国の様式から、親が家に住んでいた場合の書類を整理しました。
| 書類 | 確かめること | 1-1 | 1-2 | 1-3 |
|---|---|---|---|---|
| 被相続人の住民票の除票の写し(原則コピー不可) | 相続の直前に住んでいたこと、相続開始日 | 要 | 要 | 要 |
| 相続人の住民票の写し(原則コピー不可) | 相続の直前から売却時(1-2は取壊し時)までの住所 | 要 | 要 | 要 |
| 売買契約書のコピー等 | 譲渡の時期 | 要 | 要 | 要 |
| 家と敷地の登記事項証明書等(原則コピー不可) | 相続人の数 | 要 | 家は閉鎖事項証明書 | 取壊しなら家は閉鎖事項証明書 |
| 空き家だったことを示す書類 | 相続後に使っていないこと | 要 | 要 | 要 |
| 更地の状況が分かる写真(撮影日の記載があるもの)等 | 取壊し後に建物などがないこと | 不要 | 要 | 不要 |
| 耐震基準適合証明書等のコピーと工事完了日の書類、または閉鎖事項証明書 | 翌年2月15日までの工事 | 不要 | 不要 | 要 |
| 売買契約書等の特約部分のコピー | 買主が工事をする約束 | 不要 | 不要 | 提出を求められる |
様式1-1では、耐震基準適合証明書は確認書の申請書類に入っていません。こちらは確定申告のときに税務署へ出します。
原則コピー不可の書類は、原本を取り直す
確認表では、住民票の除票、相続人の住民票、登記事項証明書に「原則コピー不可」と書かれています。相続登記で使った書類を流用せず、申請用に取り直すつもりで準備します。
相続人の住民票で住所の移り変わりが追えない場合は、戸籍の附票の写しを出します。たとえば、住所を2回以上移している場合や、前の住所を定めた日の記載がない場合です。
相続登記の書類集めは、相続登記の必要書類で取得先ごとにまとめています。
売買契約書の写しで確かめること
確認表では、売買契約書で「譲渡の時」を確かめるとされています。契約書で引渡しの日が分からない場合は、登記事項証明書などで売却の時期を示します。
不動産会社には、契約書の写しと、引渡し日が分かる書類を早めにもらっておきます。売却の流れは相続した実家の売却チェックリストで確認できます。
相続登記が済んでいない・換価分割のとき
国土交通省のよくある質問では、相続人の数は原則として家と敷地の登記事項証明書で確かめるとしています。相続登記が終わっていない場合や、売ったお金を分ける換価分割の場合は、遺産分割協議書等が必要です。
申請書にも「換価分割の場合はチェック」という欄があります。協議書の作り方は遺産分割協議書の書き方で解説しています。
5. 空き家だったことを示す書類|電気・水道・ガスと、その代わり

確認書でつまずきやすいのが、「相続から売却まで誰も使っていない」ことの証明です。国の確認表では、次の3つのうちいずれかを出すとされています。複数出した場合は、そのすべてが確認の対象です。
| 区分 | 書類の内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| (i) 公共料金の書類 | 電気・水道・ガスの使用中止日(閉栓日、契約廃止日等)が分かる書類 | 閉栓日・契約廃止日等は相続開始日以降のもの |
| (ii) 不動産会社の広告 | 媒介契約を結んだ宅地建物取引業者が「現況空き家」と表示した広告を証する書面 | コピー可。様式1-2では、取壊しの予定がある旨の表示も必要 |
| (iii) その他の書類 | 市区町村が要件を容易に認められる書類 | 例:市区町村が認める者による管理の証明書、空き家バンクへの登録の証明書 |
公共料金の書類として認められる例
国土交通省の「制度の詳細」は、使用中止日を確かめる書類の例として次のものを挙げています。
- 支払証明書、料金請求書、領収書
- お客様情報の開示請求に対する回答書
- 通帳のコピー、クレジットカードの利用明細(最終の料金引落しの分)
解約したあとで書類を探すと、手元に残っていないことがあります。電気・水道を止めるときは、解約日が分かる書類を保管しておきます。止める時期の考え方は実家の電気・水道の手続きで整理しています。
電気や水道を止めずに管理していた場合
通風や草刈りのために、電気や水道を残している家も多いはずです。その場合は、(i)の書類が出せないため、(ii)の広告か(iii)の書類で示すことになります。
(ii)は、媒介契約を結んだ不動産会社の広告に限られます。売り出しの段階で「現況空き家」と表示してもらい、広告の写しを残してもらうよう頼んでおきます。
(iii)の空き家バンク登録の証明書は、売却の時までに登録していたことを示すものです。登録の流れは空き家バンクの使い方で確認できます。
書類がそろわないときは、先に市区町村へ相談する
国土交通省は、必要な書類が出せないことに合理的な理由がある場合、代替書類や補足書類で交付を受けられる場合があるとしています。何が代わりになるかは事情で異なるため、申請先に相談するよう案内しています。
住民票の記載で確かめられない場合も同じです。代替書類や補完書類、申請者への聞き取りで確認できれば、確認書が交付される場合があるとされています。
6. 親が老人ホームに入所していた場合の追加書類
親が要介護認定などを受けて老人ホーム等に入所し、そのまま亡くなった場合も、一定の要件で特例の対象になります。要件の詳細は国税庁No.3307にあります。確認書の申請では、確認表の追加欄に当たる書類をすべて出します。
| 追加で示すこと | 主な書類(国の確認表) |
|---|---|
| 要介護認定・要支援認定などを受けていた | 介護保険の被保険者証のコピー、障害福祉サービス受給者証のコピー等。要介護認定等の決定通知書や、老人ホーム等の記録でも可 |
| 入所した施設の名称・所在地・種類 | 施設への入所時の契約書のコピー等 |
| 入所後も家を一定使用し、貸したり他人が住んだりしていない | 電気・水道・ガスの契約名義(支払人)と使用中止日が分かる書類、施設が持つ外出・外泊の記録のコピー等、その他の書類のいずれか |
「その他の書類」の例として、家に届いた親宛ての郵便物、管理の証明書、不動産所得がないことを確かめる所得証明書が挙げられています。
住民票まわりの書類も変わる
親の住民票の除票は同じく必要です。入所後に別の老人ホームへ移っていた場合は、親の戸籍の附票の写しも出します。
相続人の住民票は、老人ホームに入所する直前から売却の時までの住所が分かるものを出します。基準になる時点が「相続の直前」から「入所の直前」に変わる点に注意します。
対象になる施設と、ならない移り先
対象は、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、認知症グループホーム、介護老人保健施設、介護医療院、サービス付き高齢者向け住宅などです。障害者支援施設なども含まれます。
国土交通省のよくある質問では、介護のために子の家へ移り、そこで亡くなった場合は対象外としています。親族の家や一般の賃貸住宅へ移った場合も同じです。
介護保険証や施設の記録は、相続や売却の後では手に入りにくいとされています。退所の手続きをする前に、写しをもらっておくと安心です。
7. 記入例|申請書のどの欄に何を書くか
国の様式(様式1-1)の申請書は、上半分を申請者が書きます。下半分の「被相続人居住用家屋等確認書」と確認表は、市区町村の記入欄です。架空の例で、各欄の書き方を示します。
| 欄 | 書く内容 | 記入例(架空) |
|---|---|---|
| 申請者の住所・氏名・電話 | 申請する相続人本人の情報 | (自分の住所)、相続 太郎、日中つながる番号 |
| 家屋と敷地等の所在地 | 家の所在地と、敷地の地番 | 〇〇市△△町一丁目(地番は登記事項証明書のとおり) |
| 家屋の建築年月日 | 昭和56年5月31日以前に建築された日付 | 昭和49年10月1日 |
| 被相続人の氏名・住所 | 亡くなった親の氏名と、最後の住所 | 相続 一郎、〇〇市△△町一丁目… |
| 申請者からみた続柄 | 申請者から見た親との関係 | 父 |
| 相続開始日 | 被相続人が亡くなった日 | 令和6年8月20日 |
| 譲渡日 | 売却した日(相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで) | 令和8年11月30日 |
| 他の相続人の氏名・住所 | 家・敷地を取得した他の相続人。家・敷地等の□に印 | 相続 花子(□家屋 □敷地等の両方に印) |
| 換価分割の欄 | 換価分割をした場合だけ印 | (該当なしなら空欄) |
| 相続人の数(申請者含む) | 家と敷地のどちらも取得した相続人の数。□に印 | 2名以下(上限3,000万円)に印 |
相続人の数は、家と敷地のいずれも取得した相続人に限られます。法定相続人の人数をそのまま書かないよう注意します。3名以上に印を付けると、控除の上限は2,000万円です。
様式1-2・1-3で増える欄
- 様式1-2:家屋の取壊し・除却または滅失の日。閉鎖事項証明書に書かれた日付を書く(未登記なら解体工事の請負契約書等で確かめた解体日)
- 様式1-3(耐震):耐震基準に適合した場合の□に印を付け、日付を書く。工事の請負契約書や請求書・領収書の完了日
- 様式1-3(取壊し):取壊し等の場合の□に印を付け、閉鎖事項証明書等に書かれた取壊し等の日を書く
書き間違えやすいところ
建築年月日は、登記事項証明書などで確かめた日付を書きます。昭和56年6月1日以降の日付なら、この特例の対象外です。
他の相続人の欄が足りなければ、別紙に書くと様式に注記されています。下半分の確認書欄と確認表の確認欄には、申請者は何も書きません。
8. 売却後に買主が解体・耐震改修する場合(様式1-3)
令和6年1月1日以後の売却では、売った年の翌年2月15日までに家が耐震基準に適合するか、取り壊されれば対象になります。工事をするのは通常、引渡しを受けた買主です。
国土交通省のよくある質問では、譲渡後に耐震改修工事をせず、耐震基準適合証明書だけが出た場合は対象外としています。この期間中の工事が要件です。
契約書の特約で、工事と書類の受け渡しを決める
売主が特例を使えるかどうかは、買主の協力しだいです。そのため国の通知は、市区町村が特約などの書類の提出を求めるとしています。
国土交通省が示す特約の例は、次の3点を定める形です。
- 特例の適用を前提に価格などを決めたことを、売主と買主が確認する
- 買主が期日までに工事を終え、必要書類を取得して売主へ渡す
- 買主が工事や書類の交付をしなかったときの損害賠償
特約がなくても、確認書の交付は可能とされています。提出がないことで交付が妨げられることはない、とも書かれています。ただ、工事が遅れると売主は控除を受けられません。契約前に、不動産会社と特約の文言を確かめておきます。
工事の証明は買主から受け取る
確認書の申請には、耐震基準適合証明書等のコピーと工事完了日が分かる書類、または家屋の閉鎖事項証明書が要ります。どれも買主側で取得する書類です。
特約に、書類を渡す期日を入れておくと、申請の準備が遅れにくくなります。解体の進め方は実家の解体チェックリストも参考になります。
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9. 交付までの日数と、確定申告までの日程

国土交通省は、交付までの日数は市区町村によって異なるとしています。確定申告の時期(毎年2月16日〜3月15日)が近づくと窓口が混み、通常より時間がかかると注意を呼びかけています。
計算例|いつまでに売る必要があるか
売却の期限は、「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日」と、特例の適用期限「令和9年12月31日」の早いほうです。相続が始まった年ごとに計算すると次のとおりです。
| 相続が始まった年(前提) | 3年を経過する日の年の12月31日 | 売却の期限 |
|---|---|---|
| 2022年中 | 2025年12月31日 | すでに経過 |
| 2023年中 | 2026年12月31日 | 2026年12月31日 |
| 2024年中 | 2027年12月31日 | 2027年12月31日 |
| 2025年中 | 2028年12月31日 | 2027年12月31日(適用期限が先に来る) |
この表は、2026年10月1日時点の法令をもとに、相続開始日を各年の1月1日〜12月31日として計算したものです。適用期限が延長されるかどうかは、現時点では分かりません。
2023年に親が亡くなった場合、売却の期限は2026年12月31日です。本記事の公開時点で残り3か月ほどのため、契約と引渡しの日程を急いで確かめる必要があります。
売却時期別の日程表(2026年中に売る場合)
| 売り方 | 申請の目安(編集部の整理) | 注意点 |
|---|---|---|
| 様式1-1(家付き・耐震適合済み) | 引渡しの後 | 耐震基準適合証明書は売却前2年以内の調査のもの。申告で添付 |
| 様式1-2(取壊し後に土地を売る) | 取壊し・引渡しの後 | 家の閉鎖事項証明書と更地の写真を先に準備 |
| 様式1-3(売却後に買主が工事) | 工事完了と書類の受け取りの後 | 工事期限は2027年2月15日(月)。申告期限の3月15日(月)まで約1か月 |
様式1-3では、工事が期限ぎりぎりになると、確認書の申請から申告期限まで1か月しかありません。八王子市は確定申告期に1か月以上かかる場合があると案内しています。工事の期日は、特約で年内や1月中に早めておくと余裕が生まれます。
確定申告で添付する書類
国税庁No.3306によると、確認書のほかに次の書類を申告書に添えます。
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
- 売った資産の登記事項証明書等(相続で取得したこと、建築時期、区分所有でないこと)
- 売買契約書の写しなど(売却代金が1億円以下であること)
- 耐震基準適合証明書等の写し(家付きで売った場合)、または取壊しを証する書類
登記事項証明書は、「不動産番号等の明細書」に不動産番号を書くことなどで添付を省略できます。申告先は、売った家の所在地ではなく自分の住所地の税務署です。
10. 相談先の使い分け
確認書は書類の手続きですが、前提には税と売買契約の判断があります。論点ごとに相談先を分けると、確認の漏れが減ります。
| 相談したいこと | 主な相談先 |
|---|---|
| 確認書の様式、必要書類、郵送や代理申請の可否 | 家のある市区町村の担当課 |
| 特例が使えるか、申告書の書き方 | 税理士、所轄の税務署 |
| 相続登記、遺産分割協議書 | 司法書士 |
| 耐震診断、耐震基準適合証明書 | 建築士事務所など |
| 売り方の選択、特約の文言、広告の表示 | 媒介を頼む不動産会社 |
不動産会社には、査定の段階で「空き家の特例を使いたい」と伝えます。家付きで売るか、更地にするか、買主が工事をするかで、価格も必要書類も変わるためです。
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【関連】地域ごとの制度と相談先を調べる
確認書の担当課や日数、解体補助の条件は、実家のある市区町村で違います。1都3県の制度は、都県別のガイドから確認できます。比較表の6市のほか、次の市のページにも確認書の窓口を載せています。
- 東京都の相続と空き家|市区別の制度と相談先ガイド
- 神奈川県の相続と空き家|市区別の制度と相談先ガイド
- 埼玉県の相続と空き家|市区別の制度と相談先ガイド
- 千葉県の相続と空き家|市区別の制度と相談先ガイド
- 松戸市の空き家|相続後の売却・解体補助と無料相談
- 茂原市の空き家|相続後の売却・補助制度・相談先を確認する手順
- 木更津市の空き家|相続後の売却・解体補助と相談先
- 加須市の空き家|相続後の売却・補助制度と相談先
よくある質問
被相続人居住用家屋等確認書はどこで申請しますか?
売った家と敷地がある市区町村に申請します。自分の住所地や税務署ではありません。担当課は住宅系や空き家対策系など市区町村ごとに違うため、申請先の案内ページで課の名前を確かめてください。
確認書の交付まで何日かかりますか?
市区町村で異なります。当サイトで比べた6市では、おおむね1週間から3週間でした。確定申告の時期が近づくと混み、八王子市は1か月以上かかる場合があると案内しています。
委任状があれば、代理人や代表者が申請できますか?
国の様式に代理人の欄はなく、扱いは市区町村ごとに決まります。八王子市は代表者の申請に委任状が必要としています。相続人ごとに申請書が要る市が多いため、事前に担当課へ確かめてください。
親が老人ホームに入所していた場合も確認書はもらえますか?
要件を満たせば交付を受けられます。介護保険の被保険者証のコピー、施設の入所契約書のコピー、入所後に家を貸していないことを示す書類などを追加で出します。子の家に移っていた場合は特例の対象外です。
電気や水道を止めていない場合はどうすればいいですか?
媒介契約を結んだ不動産会社の「現況空き家」と表示した広告や、空き家バンクへの登録の証明書などで示す方法があります。書類がそろわないときは、代わりの書類について申請先の市区町村へ相談してください。
まとめ
被相続人居住用家屋等確認書は、家のある市区町村に、売却の後で申請する書類です。様式は売り方で1-1・1-2・1-3に分かれ、令和6年以後の譲渡では相続人の数も確認されます。
準備で差がつくのは、空き家だったことを示す書類と、老人ホーム入所時の書類です。解約や退所の後では手に入りにくいため、相続の直後から残しておきます。
交付までは1週間から3週間ほどかかり、申告期が近いと延びます。売却の期限を計算し、契約の前に税理士と不動産会社に特例の利用を伝えたうえで進めましょう。
一次情報・参考資料
- 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」(令和6年1月1日以降の譲渡の様式・よくある質問、確認日:2026-10-01)
- 国土交通省「【様式】被相続人居住用家屋確認申請書・確認書」(Word)(別記様式1-1・1-2・1-3と提出書類の確認表、確認日:2026-10-01)
- 国土交通省「相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋及びその敷地等の譲渡に係る所得税及び個人住民税の特例措置の適用に当たっての要件の確認について」(通知、PDF)(最終改正令和6年1月1日、確認日:2026-10-01)
- 国土交通省「制度の詳細(令和6年1月1日~)」(PDF)(確認事項・提出書類・注意事項、確認日:2026-10-01)
- 国土交通省「空き家の譲渡所得の特別控除における特約等の例」(PDF)(確認日:2026-10-01)
- 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(令和8年4月1日現在法令等、確認日:2026-10-01)
- 国税庁「No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋」(令和8年4月1日現在法令等、確認日:2026-10-01)
- 当サイトの市区ページ(八王子市・横須賀市・熊谷市・野田市・佐倉市・香取市)に記載した各市の案内(各ページの確認日:2026-09-09〜11、本記事への転記確認日:2026-10-01)
