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結論から言うと、相続税の申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。実家があるなら、遺産分割と土地の評価(路線価・小規模宅地等の特例)を10か月から逆算して進めます。分け方がまとまらなくても期限は延びません。その場合も期限内に未分割で申告し、3年以内の分割を目指します。
この記事では、国税庁の資料と統計をもとに、次の順で整理します。
- 申告期限の起点と、月末・土日祝・年末年始の数え方
- 申告が必要かの判定と、税額0円でも申告がいるケース
- 実家の評価と小規模宅地等の特例の計算例
- 遺産分割が間に合わないときの未分割申告と分割見込書
- 相続登記・売却の特例まで含めた逆算スケジュール
- 延納・物納、延滞税・無申告加算税、相談先
1. 相続税の申告期限はいつ?|「知った日の翌日から10か月」が原則
国税庁のタックスアンサーNo.4205は、相続税の申告を「被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内」に行うとしています。根拠は相続税法27条です。
納税の期限も同じ日です。申告だけ先に出して、税金は後で払うという分け方はできません。期限までに申告しても、納付が遅れれば延滞税がかかる場合があります。
期限の基本を一覧で確認する
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 申告期限 | 死亡を知った日の翌日から10か月以内 | 相続税法27条、No.4205 |
| 納付期限 | 申告期限と同じ日 | No.4205 |
| 提出先 | 亡くなった人の死亡時の住所地を所轄する税務署(相続人の住所地ではない) | No.4205 |
| 期限が休日のとき | 土日祝・12月29日〜31日なら、その翌日が期限 | 国税通則法10条2項 |
| 遺産が未分割 | 期限は延びない | No.4208 |
「知った日」が人によって違うケース
期限の起点は、正確には「自己のために相続の開始があったことを知った日」です。国税庁の相続税法基本通達27-4は、次のような人の起点を例示しています。
- 相続人以外の人が遺贈で財産を受けた場合:遺贈があったことを知った日
- 相続の開始を理解できない幼児など:法定代理人が相続の開始を知った日
- 失踪宣告で死亡とみなされた人の相続人:審判の確定を知った日
- 認知の裁判などで後から相続人になった人:裁判の確定を知った日
疎遠だった親の死亡を後から知った場合も、起点は知った日になり得ます。知らせの手紙などの記録を残しておきましょう。
起点が人ごとに違っても、提出先は全員同じ税務署です(同通達27-3)。
10か月より前に来る2つの期限
相続税の10か月より前に、期限のある手続きが2つあります。
| 手続き | 期限 | 窓口 |
|---|---|---|
| 相続放棄・限定承認 | 相続の開始を知った時から3か月以内 | 家庭裁判所 |
| 準確定申告(亡くなった人の所得税) | 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内 | 税務署 |
裁判所は、3か月で判断できないときは期間を延ばす申立てができると案内しています。実家との関係は相続放棄を考えるときの実家の扱いで整理しています。
準確定申告は、亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について行います(No.2022)。
2. 10か月の数え方|月末・土日祝・年末年始と提出のしかた

期限の計算は、国税通則法10条のルールに従います。税務大学校の教本「国税通則法(基礎編)令和8年度版」は、要点を次のように説明しています。
- 初日は数えず、翌日から数える(初日不算入)
- 月で定めた期間は暦に従い、最後の月の「起算日に応当する日」の前日で終わる
- 最後の月に応当する日がなければ、その月の末日で終わる
- 月の初日から数え始めるときは、最後の月の末日で終わる
さらに、期限が日曜・祝日・土曜日、12月29日〜31日に当たるときは、その翌日が期限とみなされます(同条2項)。教本は、1月2日と3日も一般の休日に当たるとしています。
亡くなった日別の申告期限(計算例)
| 亡くなった日 | 数え始め | 計算上の期限 | 実際の期限 |
|---|---|---|---|
| 2026年1月6日 | 1月7日 | 2026年11月6日(金) | 11月6日 |
| 2025年12月31日 | 2026年1月1日 | 2026年10月31日(土) | 11月2日(月) |
| 2026年2月28日 | 3月1日 | 2026年12月31日(木) | 2027年1月4日(月) |
| 2026年4月28日〜30日 | 4月29日〜5月1日 | 2027年2月28日(日) | 3月1日(月) |
1行目はNo.4205の例と同じです。2行目以降は当サイトが国税通則法10条の考え方で計算した例です。実際の期限は所轄の税務署で確かめてください。
12月31日が期限の例は、年末年始の休みが続くため1月4日まで延びます。4月末の例は、翌年2月に29日・30日がないため、2月末が期限です。
提出の方法と「提出した日」の扱い
No.4205によると、申告書はe-Taxで送信するほか、郵便・信書便で送るか、税務署の時間外収受箱に入れて提出できます。
- e-Tax:国税庁の発表では、令和6年度の相続税申告のe-Tax利用率は50.3%
- 郵便・信書便:通信日付印(消印)の日に提出したものとみなされる(国税通則法22条)
- 窓口:令和8年10月1日から、全国の税務署で総合窓口の受付時間を原則9時〜15時に変更
期限の当日に郵送するなら、窓口で差し出して消印の日付を確かめます。
納付の方法
No.4205が挙げる納付方法は、ダイレクト納付、インターネットバンキング等、クレジットカード、金融機関や税務署の窓口での現金納付です。クレジットカード納付は1,000万円未満が上限で、決済手数料がかかります。
3. 申告が必要かを判定する|基礎控除と財産の洗い出し

相続税の申告が必要なのは、正味の遺産額が基礎控除額を超える場合です。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します(No.4102)。
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
法定相続人の数には、相続放棄をした人も含めて数えます。養子は、実子がいれば1人、いなければ2人までです(No.4152)。
正味の遺産額の出し方
国税庁の「財産を相続したとき」は、正味の遺産額を次の順で計算すると説明しています。
- 相続や遺贈で取得した財産と、相続時精算課税の贈与財産を合計する
- 債務、葬式費用、非課税財産を差し引く
- 加算の対象となる暦年課税の贈与財産を足す
非課税財産には、墓所や仏壇のほか、生命保険金と死亡退職金のうち「500万円×法定相続人の数」までが含まれます。
実家の相続で集める資料
判定には、財産と債務を一覧にした表が要ります。実家がある場合は、次の資料を早めにそろえます。
- 土地・建物の登記事項証明書と、固定資産税の課税明細書
- 預貯金の残高証明書(死亡日現在)と、過去の通帳
- 生命保険金の支払通知、証券会社の残高報告書
- 借入金の残高、未払いの医療費や税金の明細
- 葬式費用の領収書
- 過去の贈与の記録(贈与税の申告書の控えなど)
相続税が0円でも申告が必要なケース
申告が必要かの判定は、小規模宅地等の特例を使う前の金額で行います(No.4205の注2)。特例で税額が0円になる場合も、特例を使うには申告が必要です。
配偶者の税額軽減も同じです。配偶者が取得した正味の遺産額が、1億6,000万円か法定相続分相当額の多いほうまでなら、配偶者に相続税はかかりません(No.4158)。この軽減も、申告して初めて使えます。
データで見る|申告した人の約5人に1人は税額0円
国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」(令和7年12月)から、主な数字を抜き出しました。
| 項目 | 令和5年分 | 令和6年分 |
|---|---|---|
| 被相続人数(死亡者数) | 1,576,016人 | 1,605,378人 |
| 税額のある申告の被相続人数 | 155,740人 | 166,730人 |
| 課税割合 | 9.9% | 10.4% |
| 税額のない申告の被相続人数 | 38,121人 | 39,755人 |
| 1人当たり課税価格 | 1億3,891万円 | 1億4,025万円 |
| 1人当たり税額 | 1,930万円 | 1,946万円 |
令和6年分では、申告書が出た被相続人206,485人のうち39,755人、約19.3%が税額のない申告でした。特例を使うために申告し、税額が0円になった例が相当数あると考えられます(当サイトの見立てです)。
1都3県では課税割合が高めです。東京国税局の資料では、令和6年分の課税割合は東京都20.0%、神奈川県15.5%、千葉県11.3%でした。埼玉県は関東信越国税局の管轄で、この記事では数字を確かめられていません。
相続財産の内訳では、土地が7兆4,074億円で30.2%、家屋が4.8%でした。約35%が不動産で、その評価が申告の手間を左右します。
出典:国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」、東京国税局「令和6年分 相続税の申告事績の概要」。割合は当サイトが計算しました。
4. 実家の評価と小規模宅地等の特例|要件は「申告期限まで」

国税庁の「財産を相続したとき」によると、宅地は路線価方式か倍率方式で、建物は固定資産税評価額で評価します。路線価方式は、道路に面した宅地の1㎡当たりの価額(路線価)を基にします。路線価がない地域は、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けます。
土地の形や道路との関係で補正が入るため、実際の評価は税理士に確かめるのが安全です。
小規模宅地等の特例の中身
亡くなった人が住んでいた土地などは、一定の面積まで評価額を減らせます(No.4124)。
| 区分 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|
| 特定居住用宅地等(自宅の敷地) | 330㎡ | 80% |
| 特定事業用宅地等・特定同族会社事業用宅地等 | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50% |
「申告期限まで住む・持つ」という要件
自宅の敷地で80%減を受けられるのは、次の人が取得したときです(No.4124)。
| 取得する人 | 主な要件 |
|---|---|
| 配偶者 | 取得者ごとの要件はない |
| 同居していた親族 | 相続開始の直前から申告期限まで住み続け、申告期限まで持ち続ける |
| 別居の親族 | 配偶者も同居の相続人もいない、3年以内に自分や近親者の持ち家に住んでいない、申告期限まで持ち続けるなど6要件 |
同居の子や別居の子が使う場合、申告期限までは売らずに持ち続ける必要があります。10か月の間に実家を売ると、特例を使えなくなるおそれがあります。
遠方の持ち家に住む子は、別居の親族の要件を満たさないことが多いでしょう。誰が取得すれば特例を使えるかを分割前に確かめます。
分割要件|申告期限までに「誰が取得するか」を決める
No.4124の手続欄では、取得者が2人以上いるとき、特例を使う宅地の選択に全員が同意していることを求めています。あわせて、原則として申告期限までに分割されていることが必要です。遺産分割が10か月に間に合うかで、納める税額が大きく変わります。
計算例|特例を使えるかで税額はこう変わる
次の前提で計算します(説明のための仮定です)。
- 父が死亡し、母は先に死亡。相続人は子2人(基礎控除4,200万円)
- 実家の土地200㎡の評価額は4,000万円(路線価方式)
- 実家の建物の固定資産税評価額は300万円
- 預貯金は2,500万円。債務や葬式費用は考えない
- 父と同居していた長女が実家を取得し、申告期限まで住み続ける
| 項目 | 特例なし | 特例あり |
|---|---|---|
| 土地の評価額 | 4,000万円 | 800万円(3,200万円減) |
| 課税価格の合計 | 6,800万円 | 3,600万円 |
| 基礎控除 | 4,200万円 | 4,200万円 |
| 課税遺産総額 | 2,600万円 | 0円 |
| 相続税の総額 | 290万円 | 0円 |
特例なしの場合、課税遺産総額2,600万円を子2人の法定相続分で分けると1,300万円ずつです。速算表(No.4155)に当てはめると、1,300万円×15%−50万円=145万円です。2人分で290万円になります。
特例ありなら税額は0円です。ただし、特例前の6,800万円が基礎控除を超えるため、期限内の申告が必要です。
5. 遺産分割がまとまらないとき|未分割申告と「3年以内の分割見込書」
No.4208は「分割されていないということで相続税の申告期限が延びることはありません」としています。話し合いが続いていても、10か月以内に申告と納税をします。
未分割申告のしくみ
未分割のときは、各相続人が法定相続分(または包括遺贈の割合)で取得したものとして計算し、申告・納税します。この申告では、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使えません。
先の計算例なら、分割が間に合わないと290万円を納めることになります。子2人で145万円ずつです。
「申告期限後3年以内の分割見込書」を添える
後で特例を使う道を残すには、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添えて出します。国税庁の手続案内(B1-5)では、相続税の申告書とともに提出する書類とされています。
そのうえで申告期限から3年以内に分割すれば、修正申告や更正の請求で特例を使えます。3年以内に分割できないやむを得ない事情があるときは、税務署長の承認を受ける手続きもあります(No.4158)。
分割した後の手続きと期限
| 分割後の結果 | 手続き | 期限 |
|---|---|---|
| 当初より税額が減る | 更正の請求 | 分割を知った日の翌日から4か月以内(No.4208) |
| 当初より税額が増える | 修正申告 | 分割の後に行う(時期は税務署に確認) |
| 配偶者の軽減を後から使う | 更正の請求 | 分割成立の翌日から4か月以内(No.4158) |
計算例で2年後に長女が実家を取得する分割が成立すれば、更正の請求で290万円が還付される可能性があります。住み続けるなどの要件を満たすことが前提です。
話し合いの進め方は相続人が複数いるときの実家の分け方、書面のまとめ方は遺産分割協議書と実家を参考にしてください。
6. 相続した実家がある場合の10か月逆算スケジュール
実家がある相続では、相続税のほかに相続登記や売却の特例にも期限があります。2026年1月6日に亡くなり、同じ日に知ったケースで並べました。
| 時期 | 手続き | 期限の目安 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 3か月 | 相続放棄・限定承認の判断 | 2026年4月上旬 | 裁判所の案内 |
| 4か月 | 準確定申告 | 2026年5月7日(6日が振替休日のため) | No.2022 |
| 10か月 | 相続税の申告・納付、延納・物納の申請 | 2026年11月6日 | No.4205 |
| 10か月 | 小規模宅地等の特例の居住・保有の継続 | 2026年11月6日まで | No.4124 |
| 3年 | 相続登記の申請 | 取得を知った日から3年以内 | 法務省 |
| 申告期限から3年 | 未分割の財産を分割(特例を使う場合) | 2029年11月ごろ | No.4208 |
| 申告期限の翌日以後3年 | 取得費加算の特例を使う売却 | 2029年11月ごろ | No.3267 |
| 年末 | 空き家の3,000万円控除を使う売却 | 2029年12月31日と2027年12月31日の早いほう | No.3306 |
当サイトが一般的な数え方で計算した目安です。個別の期限は税務署・法務局・税理士に確かめてください。
遺産分割協議書は、相続登記にも相続税の申告にも使います。不動産の表示を登記事項証明書どおりに書くと、両方の手続きで手戻りが減ります。
相続登記と売却の期限との関係
法務省によると、相続登記は令和6年4月1日から義務になりました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請します。それより前の相続で未登記のものは、令和9年3月31日が期限です。詳しくは相続登記の義務化と期限をご覧ください。
実家を売るには先に相続登記が要ります。売却代金で納税するなら、登記は10か月より前に終えます。
空き家の3,000万円控除は、令和9年12月31日までの売却が対象です。相続の開始から3年を経過する日の属する年の年末という期限もあり、早いほうが期限になります。この控除は、相続税の取得費加算の特例と重ねて使えません(No.3306)。詳しくは相続した空き家の3,000万円特別控除で確認できます。
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7. 納税資金の準備|延納・物納と、実家を売って納める場合
相続税は、金銭で期限までに一括で納めるのが原則です(No.4211)。実家の評価額が大きく預貯金が少ないと、納税資金が足りないことがあります。
延納と物納の比較
| 項目 | 延納 | 物納 |
|---|---|---|
| 内容 | 年払いで分けて金銭で納める | 相続財産そのもので納める |
| 主な要件 | 税額10万円超、金銭での納付が困難、担保の提供 | 延納でも金銭での納付が困難 |
| 申請期限 | 申告期限(納期限)まで | 申告期限(納期限)まで |
| 期間・価額 | 不動産等の割合が75%以上なら、不動産等に係る分は最長20年 | 収納価額は原則として相続税の評価額 |
| 費用 | 利子税(不動産等に係る分の特例割合は0.6%など) | 書類の訂正などの期間に利子税 |
延納の担保は、延納税額が100万円以下で期間が3年以下なら不要です。利子税の特例割合は、令和8年1月1日現在の延納特例基準割合1.3%で国税庁が計算した値です。
物納には、境界が明らかでない土地や共有の不動産は使えません。また、小規模宅地等の特例を使った土地を物納すると、収納価額は特例適用後の価額です(No.4214)。80%減った評価額で納めることになる点に注意が必要です。
実家を売って納税する場合の期限
売却代金で納めるなら、10か月以内に代金を受け取る必要があります。登記から決済までを考え、早めに検討を始めます。
期限までに売れなかったときは、ほかの資金で納めるか、期限内に延納を申請します。売れてから納めるつもりで支払いを遅らせると、延滞税がかかります。
取得費加算の特例|申告期限の翌日以後3年以内の売却
相続税を納めた人が、相続した土地や建物を一定期間内に売ると、相続税額の一部を取得費に加えられます(No.3267)。売却の期限は「相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで」です。
加算できる額は、特例を使わないで計算した譲渡益が上限です。適用には売った年の確定申告が必要です。売却全体の流れは相続した実家の売却チェックリストで解説しています。
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8. 期限に間に合わないとき|延滞税・無申告加算税と期限の延長
期限を過ぎると、遅れた期間と経緯に応じて、本来の税金に加えて次の負担が生じます。
延滞税|令和8年は年2.8%、2か月を過ぎると年9.1%
延滞税は、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて自動的にかかります(No.9205)。令和8年中の割合は次のとおりです。
- 納期限の翌日から2か月を経過する日まで:年2.8%
- 2か月を経過した日以後:年9.1%
計算例として、290万円を期限から30日遅れて納めたとします。290万円×2.8%×30日÷365日で約6,673円です。附帯税は100円未満を切り捨てるため、延滞税は6,600円になります(前提つきの目安です)。
無申告加算税|調査の前か後かで割合が変わる
期限後に申告すると、無申告加算税がかかることがあります。税務大学校の教本は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が来るものについて、次の区分を示しています(国税通則法66条)。
| 期限後申告の時期 | 割合 | 税額290万円の場合 |
|---|---|---|
| 調査の事前通知の前に自主的に申告 | 5% | 14万5,000円 |
| 事前通知の後、決定を予知する前に申告 | 50万円まで10%、300万円まで15%、超える部分25% | 41万円 |
| 調査を受けた後に申告、または決定を受けた | 50万円まで15%、300万円まで20%、超える部分30% | 55万5,000円 |
税額290万円の欄は当サイトの試算です。過去に無申告加算税を課されたことがある場合などは、さらに加重されます。
期限から1か月以内の自主的な申告で、税額を期限内に全額納めているなど一定の要件を満たせば、無申告加算税はかかりません(同条9項)。財産を隠したり仮装したりした場合は、重加算税(期限後申告等で40%)の対象です。
災害など、やむを得ない理由があるとき
災害など本人の責任でない理由で期限までに申告できないときは、理由がやんだ日から2か月以内に限って期限が延びます(国税通則法11条、No.8001)。国税庁長官による地域指定のほか、税務署長への申請による個別指定があります。
遺産分割がまとまらない、仕事が忙しいといった理由では延長されません。
「5年たてば時効」は当てにしない
国税庁の資料によると、税務署長が更正や決定をできるのは、原則として法定申告期限から5年間です。偽りや不正の行為で税を免れた場合は7年間になります。
延滞税は日数に応じて増え続けます。申告漏れに気づいたら、早く申告するほうが負担は小さくなります。
9. 相続税の申告の相談先|税務署・税理士会・税理士

申告が必要か分からない段階なら、無料の公的窓口から始められます。
税務署の電話相談センター
国税庁の案内では、国税相談専用ダイヤル0570-00-5901に電話し、音声ガイダンスで「3」を選びます。3番は譲渡所得、相続税、贈与税、財産評価の相談です。受付は8時30分〜17時で、土日祝日と年末年始は除きます。
電話での回答が難しい内容は、予約のうえ税務署で面接相談を受けると国税庁は案内しています。期限までの納税が難しいときは、所轄税務署の徴収担当に相談します。
税理士会の無料相談
日本税理士会連合会によると、全国15の税理士会が、2月23日の税理士記念日を中心に無料税務相談会などを開いています。1都3県の管轄は、次のとおりです。
- 東京都:東京税理士会
- 神奈川県:東京地方税理士会
- 千葉県:千葉県税理士会
- 埼玉県:関東信越税理士会
開催日や対象は会ごとに違います。
税理士に依頼するときの準備
国税庁の資料は、税務代理や税務書類の作成を業として行えるのは税理士に限られるとしています。依頼の前に次をそろえると、見積もりと作業が早く進みます。
- 財産と債務の一覧(「3.」で挙げた資料)
- 相続人の一覧と戸籍
- 遺言書の有無と写し
- 遺産分割の見通し
- 実家を住む・貸す・売るのどれにするかの方針
報酬は事務所ごとに違うため、見積もりの内訳を書面でもらいましょう。登記は司法書士、相続人同士の争いは弁護士に相談します。
【関連】地域ごとの制度と相談先を調べる
実家の解体補助や空き家の窓口は市区町村ごとに違います。1都3県の制度は、都県別のガイドから確認できます。
- 東京都の相続と空き家|市区別の制度と相談先ガイド
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よくある質問
相続税の申告期限は、いつから数えますか?
亡くなったことを知った日の翌日から数えて10か月以内です。通常は死亡日の翌日が起点で、1月6日に亡くなったなら11月6日が期限です。
申告期限が土日祝日や年末に当たる場合はどうなりますか?
土曜・日曜・祝日、12月29日〜31日に当たるときは、その翌日が期限とみなされます。
相続税がかからなくても、申告が必要な場合はありますか?
あります。申告が必要かは、小規模宅地等の特例を使う前の金額で判定します。特例や配偶者の税額軽減で税額が0円になる場合も、使うには申告書の提出が必要です。
遺産分割がまとまらない場合、申告期限は延びますか?
延びません。法定相続分で取得したものとして期限内に申告・納税します。申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添え、3年以内に分割すれば、後から特例を使えます。
申告期限を過ぎたらどうなりますか?
延滞税と無申告加算税がかかることがあります。延滞税は令和8年中なら年2.8%、2か月を過ぎると年9.1%です。調査の通知前に自主的に申告すれば、無申告加算税は5%に抑えられます。
まとめ
相続税の申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。期限が休日に当たれば翌日に延びますが、遺産分割の遅れでは延びません。
実家がある相続では、小規模宅地等の特例が税額を大きく左右します。特例には、申告期限までの分割と、住み続ける・持ち続ける要件があります。分割が間に合わないときは、未分割で申告し、分割見込書を添えて3年以内の分割を目指します。
納税資金が足りないなら、延納・物納や実家の売却を10か月の中で検討します。迷う点は、税務署や税理士に早めに相談しましょう。
一次情報・参考資料
- 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」(令和8年4月1日現在法令等、確認日:2026-10-02)
- 国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」(令和8年4月1日現在法令等、確認日:2026-10-02)
- 国税庁「No.4152 相続税の計算」、「No.4155 相続税の税率」(令和8年4月1日現在法令等、確認日:2026-10-02)
- 国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」(令和8年4月1日現在法令等、確認日:2026-10-02)
- 国税庁「No.4208 相続財産が分割されていないときの申告」(令和8年4月1日現在法令等、確認日:2026-10-02)
- 国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」(令和8年4月1日現在法令等、確認日:2026-10-02)
- 国税庁「B1-5 相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続」(確認日:2026-10-02)
- 国税庁「No.4211 相続税の延納」、「No.4214 相続税の物納」(令和8年4月1日現在法令等、確認日:2026-10-02)
- 国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」、「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(令和8年4月1日現在法令等、確認日:2026-10-02)
- 国税庁「No.9205 延滞税について」、「No.8001 災害等による期限の延長」(令和8年4月1日現在法令等、確認日:2026-10-02)
- 国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」(令和8年4月1日現在法令等、確認日:2026-10-02)
- 国税庁「相続税法基本通達 第27条《相続税の申告書》関係」27-3・27-4(確認日:2026-10-02)
- 国税庁「暮らしの税情報 財産を相続したとき」(確認日:2026-10-02)
- 税務大学校「国税通則法(基礎編)令和8年度版」(PDF)(確認日:2026-10-02)
- 国税庁「税務手続について」(PDF)(平成28年4月、確認日:2026-10-02)
- 国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」(PDF)(令和7年12月、確認日:2026-10-02)
- 東京国税局「令和6年分 相続税の申告事績の概要」(PDF)(令和7年12月、確認日:2026-10-02)
- 国税庁「国税に関するご相談について」(確認日:2026-10-02)
- 日本税理士会連合会「税理士会の相談会に行ってみる」(確認日:2026-10-02)
- 裁判所「相続の放棄の申述」(確認日:2026-10-02)
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(令和7年3月27日更新、確認日:2026-10-02)
