実家が売れない|4つの理由別の打ち手と田舎の家を手放す方法

秋の田舎町で、古い木造二階建ての実家を前に考え込む兄妹

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実家が売れない理由は、①価格、②建物・土地の条件、③権利、④立地の4つに分かれます。理由ごとに打ち手が違うため、まず原因を一つずつ確かめるのが先です。価格の見直しで動く家もあれば、買取・空き家バンク・解体、最後は相続放棄や国庫帰属制度で手放す家もあります。

この記事で分かること

  • 国の調査で分かる「売れない」「売らない」理由の割合
  • 売れない理由4つの見分け方と、理由ごとの打ち手の早見表
  • 田舎の実家が売れにくい背景を、1都3県の市区の空き家率で比べる
  • 売れないまま持ち続けたときの税金・管理・損害の責任
  • 買取・空き家バンク・寄付・解体・相続放棄・国庫帰属制度の比べ方
  • 安くしか売れないときに使える税の特例と、手取りの計算例
目次

1. 実家が売れないのは珍しくない|国の調査で見る理由

「実家を売りに出したのに、半年たっても問い合わせがない」。こうした悩みは珍しいものではありません。国土交通省の「令和6年空き家所有者実態調査」に、その背景が数字で出ています。

売る・貸すときの課題は「傷み」「買い手の少なさ」「家財」

この調査では、5年以内に売るか貸すつもりの世帯に、課題を複数回答で聞いています。上位は次のとおりです。

賃貸・売却する上での課題(複数回答)割合
住宅の傷み43.3%
借り手・買い手の少なさ40.3%
家財などの処理37.4%
設備や建具の古さ34.0%
リフォーム費用/地域の高齢化や人口減少/どうすればよいか分からない各21.4%
住宅の耐震性16.0%
公共交通の便の悪さ14.3%
再建築不可(道路付けの悪さなど)7.6%

出典:国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査結果」図表3-44(N=251千世帯)。

建物の状態、需要の少なさ、片付けの手間が上位に並びます。どれか一つではなく、いくつも重なっている家が多いと考えられます。

買い手が見つからないとき、所有者はどうするか

同じ調査では、買い手や借り手が見つからない場合の対応も聞いています。「家賃や価格を引き下げる」が45.5%で最も多く、「自治体・専門家などに相談する」が42.6%でした。

一方で「賃貸・売却をあきらめる」も20.4%あります。あきらめた家は空き家のまま残り、管理の負担と税金だけが続きます。そうならないよう、原因に合った打ち手を選ぶことが大切です。

空き家のまま持ち続ける理由

空き家として持ち続ける世帯の理由も見ておきます。「物置として必要」が55.8%、「解体費用をかけたくない」が47.3%、「住宅の古さ」が37.0%です。

「希望する価格で売れそうにない」は7.5%、「所有者が複数で合意が困難」は2.2%でした。売れないと感じる前に、売る準備に進めていない家も多いことが分かります。

2. 売れない理由は4つ|まず原因を特定する

机で資料と虫眼鏡を使い、家が売れない原因を整理する女性

売れない実家の原因は、大きく4つに分けられます。原因が違えば、効く打ち手も違います。価格だけを下げ続けても、権利の問題が残っていれば売買は成立しません。

理由と打ち手の早見表

売れない理由よくある状態まず確かめること主な打ち手
①価格問い合わせや内覧がほとんどない近い条件の成約事例と売り出し価格の差価格の見直し、不動産会社の選び直し、買取
②建物・土地の条件内覧はあるが決まらない、融資が通らない接道、建物の傷み、残置物、境界片付け、解体、現況のまま買取、隣地への打診
③権利買主が決まっても契約に進めない登記名義、共有者の同意、未登記の建物相続登記、共有者の合意、持分の整理
④立地周辺に売り物件が多く、需要が少ない地域の空き家率、近隣の売り出し状況空き家バンク、隣地への打診、国庫帰属制度

この表は、原因を切り分けるための目安です。実際には複数の理由が重なることが多いため、上から順に一つずつ確かめてください。

見分けるときの順番

確かめる順番は、③権利→②条件→①価格→④立地が効率的です。権利の問題は、どれだけ価格を下げても売買を止めてしまうからです。

  1. 登記事項証明書で、名義が亡くなった親のままでないか確かめる
  2. 役所の建築指導の窓口で、敷地が道路に接しているか確かめる
  3. 不動産会社2〜3社に査定を頼み、価格の根拠を比べる
  4. 地域の空き家率や近隣の売り出し状況から、需要の強さをつかむ

3. 理由① 価格|売り出し価格と不動産会社を見直す

問い合わせ自体が少ないなら、まず価格を疑います。相続した家は思い出があるため、所有者の希望価格が相場より高くなりがちです。

査定価格と成約価格は違う

不動産会社が出す査定価格は、「この価格なら売れそう」という見込みです。実際に売れた成約価格とは違います。複数社の査定で一番高い会社を選ぶと、売り出し価格が相場から離れることがあります。

宅地建物取引業法34条の2第2項は、不動産会社が価格に意見を述べるとき、根拠を示すよう定めています。査定の根拠となった成約事例を見せてもらい、比べてください。

媒介契約の期間と報告の頻度を確かめる

売却を任せる媒介契約にも、見直しのタイミングがあります。1社だけに任せる専任媒介契約の有効期間は、3か月を超えられません(宅建業法34条の2第3項)。

専任媒介では2週間に1回以上、専属専任媒介では1週間に1回以上、業務の報告を受けられます(同条第9項)。報告の中身を見て、広告の出し方や反響の数を確かめましょう。

3か月たっても反響が少ないなら、更新せずに会社を変えるのも一つの方法です。地域の取引に強い会社か、相続物件を多く扱う会社かも比べてください。

800万円以下の家は仲介手数料の特例がある

安い家は仲介手数料も安くなるため、不動産会社が積極的に扱わないことがありました。そこで国は2024年7月1日から、800万円以下の宅地・建物の売買の仲介で特例を設けています。

この特例では、仲介手数料の上限が30万円の1.1倍、つまり33万円(税込)になります。ただし不動産会社は、媒介契約の前に報酬額を説明し、依頼者の合意を得る必要があります。

買取業者に直接売る方法との違いは、実家の買取の記事で比べています。

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買取と仲介は、手取り額と売れるまでの期間の考え方が違います。相続人の合意と名義の状況を確認してから、条件を比べてください。

早く手放したい・古い家のまま売りたい場合(買取)
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相場に近い価格で売りたい場合(仲介)※東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の物件が対象
ミライアスのスマート仲介で売却査定の案内を確認する

申し込み後は、内容確認の電話がかかってくることがあります。

4. 理由② 建物・土地の条件|再建築不可・古さ・残置物

旗竿地の細い通路の幅をメジャーで測る男性

内覧はあるのに決まらない家は、建物や土地の条件に原因があることが多いです。買主が住宅ローンを使えない、建て替えられない、片付けが終わっていない、といったケースです。

道路に2メートル以上接しているか

建築基準法43条は、建物の敷地は道路に2メートル以上接しなければならないと定めています。この条件を満たさない土地は、原則として建て替えができません。いわゆる「再建築不可」です。

旗竿地の通路が2メートル未満の家や、前の道が建築基準法上の道路でない家が当てはまります。見た目は道に面していても、法律上の道路かどうかは役所で確かめる必要があります。

国の調査でも「再建築不可(道路付けの悪さなど)」は売却の課題として7.6%ありました。この場合は、隣地の所有者に買ってもらう、隣地の一部を買い足すといった方法が考えられます。

建物が古い・傷んでいる

「住宅の傷み」は課題の1位で43.3%でした。古い家は、買主がリフォーム費用を見込んで価格を下げて考えます。

売主がリフォームしてから売る方法もありますが、かけた費用が価格に上乗せできるとは限りません。売る前の大きな工事は、不動産会社と費用対効果を相談してからにしましょう。

建物を壊して更地で売る方法もあります。ただし解体すると、翌年から土地の固定資産税が上がることがあります。解体前の確認は実家の解体の記事にまとめています。

家財が残ったまま

「家財などの処理」は37.4%でした。家財が残っていると内覧の印象が悪く、買主が使い方を想像しにくくなります。

すべて片付けてから売る必要はありません。家財を残したまま引き取る買取業者もあります。片付けの進め方や探しておく書類は実家の遺品整理の記事を参考にしてください。

境界があいまい

隣地との境界が決まっていない土地は、買主が不安を感じます。境界標がない場合は、土地家屋調査士に測量を頼み、隣地の所有者と境界を確認します。売買契約の条件として、売主が境界を明示するよう求められることも多いです。

5. 理由③ 権利|相続登記・共有・未登記

買主が決まったのに、契約や引き渡しに進めないことがあります。原因の多くは、名義や共有などの権利の問題です。

名義が亡くなった親のまま

登記の名義が亡くなった親のままだと、相続人は自分の名前で売れません。売る前に相続登記を済ませる必要があります。

相続登記は2024年4月1日から義務になりました。相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に申請が必要です。期限や過料は相続登記の義務化の記事で説明しています。

兄弟の共有で全員の同意がそろわない

民法251条1項は、共有者は他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えられないと定めています。実家全体を売るには、原則として共有者全員の同意が必要です。

一人でも反対や連絡のつかない人がいると、売却は止まります。所在が分からない共有者がいる場合は、裁判所の手続きを使える制度もあります。共有の解き方は共有名義の解消の記事を見てください。

未登記の建物がある

古い家では、増築部分や離れ・物置が登記されていないことがあります。未登記の建物は、買主の住宅ローンの審査で問題になることがあります。

建物の登記は土地家屋調査士、名義の登記は司法書士の担当です。売る前に、登記事項証明書と現況を見比べておきましょう。

6. 理由④ 立地|田舎の実家と空き家率の差

「田舎の実家が売れない」と感じる背景には、地域ごとの需要の差があります。総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%でした。

そのうち賃貸用・売却用・別荘などを除く空き家は385万6千戸で、総住宅数の5.9%です。使い道が決まらないまま空いている家が、これだけあります。

1都3県でも市区によって大きく違う

当サイトの市区ページで確認した数字を並べると、同じ1都3県でも差がはっきり出ます。

市区総住宅数空き家率その他の住宅の率
館山市26,710戸約25.76%約11.12%
銚子市29,830戸19.8%10.6%
香取市32,680戸16.9%11.2%
横須賀市194,640戸15.6%約6.6%
木更津市67,370戸15.1%6.3%
目黒区-約10.70%約1.96%
品川区-約10.08%約2.13%

出典:令和5年住宅・土地統計調査(2023年10月1日現在)。各市区ページに記載の数値で、出典は各ページに明記しています。「その他の住宅の率」は、賃貸用・売却用・二次的住宅を除く空き家の総住宅数に対する割合です。横須賀市の率は戸数から当サイトで算出しました。

空き家率だけを見ると、目黒区や品川区も10%を超えています。しかし都市部の空き家の多くは、賃貸用や売却用の住宅です。使い道の決まっていない空き家の率は、館山市・香取市が約11%なのに対し、目黒区は約2%でした。

統計は「売れにくさ」の背景にとどまる

住宅・土地統計調査は標本調査による推計値です。市区の率が高いからといって、その市区の家がすべて売れないわけではありません。

実際の売れ方は、駅からの距離、接道、土地の形、建物の状態で大きく変わります。統計は「需要が弱い地域かもしれない」と気づくための材料と考え、価格は現地を見た査定で判断してください。

需要が弱い地域での打ち手

需要が弱い地域では、広く売り出すより、買う理由がある人に直接届ける方法が効くことがあります。

  • 隣地の所有者に打診する(庭や駐車場として土地を広げたい人がいる)
  • 自治体の空き家バンクに登録する(移住希望者に届く)
  • 地元の不動産会社に、地域の買い手の動きを聞く

空き家バンクの登録の流れや条件は空き家バンクの記事で説明しています。

7. 売れないまま放置するとどうなるか

売れないからといって放置すると、負担は年々重くなります。主なものは税金、管理、近隣への責任の3つです。

固定資産税の特例が外れることがある

住宅が建っている土地には、固定資産税の住宅用地特例があります。200平方メートル以下の部分は課税標準が6分の1、超える部分は3分の1に減らされます。

2023年の空家法改正で、適切に管理されていない空き家は「管理不全空家」として指導の対象になりました。指導に従わず勧告を受けると、この特例が受けられなくなります。

特例が外れたときの税額の目安は実家の固定資産税の記事で試算しています。

管理の手間と費用が続く

空き家は、換気・通水・草刈り・郵便物の確認などの管理が欠かせません。遠方に住んでいると、移動の時間と交通費もかかります。点検の頻度や項目は空き家の管理の記事にまとめています。

近隣に損害を与えたときの責任

民法717条1項は、土地の工作物の設置や保存の欠陥で他人に損害が出たとき、占有者が賠償責任を負うと定めています。占有者が必要な注意をしていたときは、所有者が賠償します。

台風で屋根瓦やブロック塀が崩れ、隣家や通行人に被害が出た場合などが考えられます。売れないまま持っている間も、所有者としての責任は続きます。

8. 売る以外に手放す方法|買取・空き家バンク・寄付・解体

相談窓口で不動産の担当者と話す夫婦

仲介で一般の買主を探しても決まらないときは、手放し方を広げて考えます。主な方法を比べると次のとおりです。

方法向いている家注意点詳しい記事
買取業者に売る古い・家財が残る・早く手放したい仲介より価格が下がりやすい。複数社で比べる実家の買取
空き家バンク地方で、移住希望者に需要がある登録しても成約するとは限らない空き家バンク
隣地の所有者に売る再建築不可・狭い土地価格は話し合い。契約は専門家に確認-
自治体・法人への寄付公共で使い道がありそうな土地受け入れるかは相手次第。窓口に確認-
解体して更地で売る建物が傷み、土地に需要がある解体費と、翌年からの固定資産税の上昇実家の解体
賃貸に出す修繕すれば住める、賃貸需要がある修繕費と、貸した後は売りにくくなる点実家の賃貸

寄付は「受け入れてもらえるか」から確かめる

自治体への寄付は、相手が受け入れて初めて成り立ちます。受け入れるかどうかは自治体の判断で、扱いは自治体ごとに違います。

寄付を考えるときは、土地のある市区町村の財産管理や空き家対策の窓口に、受け入れの扱いを直接たずねてください。受け入れられない場合に備え、ほかの方法も並べて検討しておきます。

解体するなら補助金と税金を先に確かめる

解体には自治体の補助金が使える場合があります。ただし多くは対象条件や受付期間があり、工事の契約前に申請が必要です。

当サイトの市区ページでは、補助の名称・上限額・受付状況を原文で確認しています。たとえば香取市は危険な空き家の除却補助が上限50万円です。木更津市は令和8年度の受付を予算到達で終了しています。

9. 最後の手段|相続放棄と相続土地国庫帰属制度

解体後の更地を道路から見つめる家族

どうしても売れない、持ち続けられないときは、相続放棄か相続土地国庫帰属制度を検討します。どちらも使える時期と条件が決まっているため、早めに確かめてください。

相続放棄は3か月以内。実家だけは放棄できない

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所へ申述します。申述先は亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所で、収入印紙800円分などが必要です。

放棄すると、預貯金も含めてすべての財産を相続できなくなります。実家だけを選んで放棄することはできません。

放棄した後も、責任がすべてなくなるとは限りません。民法940条1項は、放棄の時に相続財産を現に占有している人は、引き渡すまで保存しなければならないと定めています。詳しくは相続放棄と実家の記事を見てください。

相続土地国庫帰属制度は「更地」が前提

相続土地国庫帰属制度は、相続した土地を国に引き取ってもらう制度で、2023年4月27日に始まりました。建物がある土地は申請できないため、実家なら解体が前提です。

審査手数料は土地一筆あたり14,000円です。承認されると負担金を納めます。法務省のQ&Aでは負担金は「20万円が基本」で、市街地の宅地などは面積に応じて計算されます。

法務省の統計(2026年8月31日現在の速報値)では、申請5,997件に対し、国に帰属した土地は3,119件です。却下は85件、不承認は100件でした。

取下げは1,139件あり、そのうち586件は「有効活用の見込みが生じた」ことが理由です。申請の準備中に、隣地の人などの引き取り手が見つかる例があると読めます。制度の詳細は相続土地国庫帰属制度の記事で説明しています。

3つの手放し方を比べる

項目売却(買取を含む)相続放棄相続土地国庫帰属制度
使える時期相続登記の後、いつでも相続を知ってから3か月以内相続した後
対象土地と建物すべての相続財産土地だけ(建物は不可)
国や裁判所への費用登録免許税など収入印紙800円分など審査手数料1筆14,000円+負担金
お金が入るか入る入らない入らない(支払う)
相談先不動産会社・司法書士家庭裁判所・弁護士・司法書士法務局(本局)

10. 安くしか売れないときの税金|特例と手取りの計算例

安くしか売れない家でも、売れば譲渡所得の税金がかかることがあります。親が昔に買った家は、取得費が分からないことも多いからです。使える特例を確かめましょう。

低未利用土地等の100万円控除

都市計画区域内の空き地・空き家などを売ったとき、譲渡所得から100万円を控除できる特例があります。対象は令和2年7月1日から令和10年12月31日までの譲渡です。

主な要件は次のとおりです。

  • 売った金額が、建物を含めて500万円以下であること
  • 市街化区域などにある土地なら、800万円以下であること
  • 売った年の1月1日に、所有期間が5年を超えていること
  • 親子や夫婦など「特別な関係」の人への売却でないこと
  • 売った後に、その土地が利用されること

市区町村長が確認した書類が必要です。ほかの譲渡所得の特例と一緒に使えない場合があるため、申告の前に税務署か税理士に確かめてください。

空き家の3,000万円控除

親が一人で住んでいた家を相続して売るときは、空き家の3,000万円控除が使える場合があります。昭和56年5月31日以前に建てられた家であることなどが条件です。

相続の開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。相続人が3人以上なら、控除は1人2,000万円までです。条件は空き家の3,000万円控除の記事にまとめています。

計算例:田舎の実家を400万円で売った場合

次の前提で、100万円控除を使う場合と使わない場合を比べます。

  • 売却価格400万円(建物を含む。都市計画区域内)
  • 親が買った金額は不明。取得費は売却価格の5%の20万円とする
  • 仲介手数料は特例の上限の33万円とする
  • 親の取得から5年超で長期譲渡所得。3,000万円控除は使わない
項目100万円控除なし100万円控除あり
譲渡所得(400万-20万-33万)347万円347万円
特別控除0円100万円
課税される譲渡所得347万円247万円
所得税(15%)520,500円370,500円
復興特別所得税(所得税の2.1%)10,930円7,780円
住民税(5%)173,500円123,500円
税額の合計704,930円501,780円

この前提では、特例を使うと税額が約20万円少なくなります。取得費の5%は、買った金額が分からないときに使う概算の方法です。

親の売買契約書などで実際の取得費が分かれば、税額はさらに下がることがあります。数字は概算で、実際の申告は税務署か税理士に確かめてください。売却全体の税金は相続した実家の売却の記事で計算しています。

困ったときの相談先

悩み相談先
価格・売り方・買取地元の不動産会社(2〜3社で比較)
相続登記・名義司法書士、法務局
未登記の建物・境界・測量土地家屋調査士
共有者との争い・相続放棄弁護士、家庭裁判所
譲渡所得の税金・特例税理士、税務署
空き家バンク・解体補助・寄付市区町村の空き家対策の窓口
国庫帰属制度土地のある都道府県の法務局(本局)

この記事は制度の一般的な説明です。個別の判断は、それぞれの専門家や窓口に相談してください。

【関連】地域ごとの制度と相談先を調べる

よくある質問

実家が売れないとき、最初に何をすればいいですか?

売れない理由を、価格・建物と土地の条件・権利・立地の4つに分けて確かめます。まず登記の名義と接道を確認し、次に複数の不動産会社の査定根拠を比べてください。

田舎の実家は、値段を下げれば売れますか?

価格が原因なら、見直しで動くことがあります。ただし再建築不可や共有など、価格以外の理由がある家は下げても決まりません。原因を確かめてから価格を判断してください。

売れない実家を自治体に寄付できますか?

自治体が受け入れれば寄付できますが、受け入れるかどうかは自治体の判断です。土地のある市区町村の窓口に、受け入れの扱いを直接たずねてください。

相続放棄すれば、実家の管理から完全に解放されますか?

解放されるとは限りません。民法940条1項により、放棄の時に実家を現に占有している人は、次の管理者に引き渡すまで保存する義務があります。弁護士や司法書士に確認してください。

国庫帰属制度を使えば、建物付きの実家を国に引き取ってもらえますか?

建物がある土地は申請できません。解体して更地にしてから申請します。審査手数料は一筆14,000円、負担金は20万円が基本で、市街地の宅地などは面積で計算されます。

まとめ

  • 実家が売れない理由は、価格・建物と土地の条件・権利・立地の4つに分かれる
  • 国の調査では、売却の課題は「住宅の傷み」43.3%、「買い手の少なさ」40.3%が上位
  • 確かめる順番は、権利→条件→価格→立地。権利の問題は価格を下げても解決しない
  • 1都3県でも、使い道の決まらない空き家の率は館山市約11%、目黒区約2%と差がある
  • 放置すると、住宅用地特例が外れる、近隣への損害の責任を負うなどの負担が続く
  • 買取・空き家バンク・寄付・解体・相続放棄・国庫帰属制度を、条件で比べて選ぶ
  • 安く売るときは、低未利用土地等の100万円控除などの特例を確かめる

まずは登記の名義と接道を確かめ、不動産会社2〜3社に査定の根拠を聞くところから始めてください。

一次情報・参考資料

この記事は一般的な制度の説明です。個別の事情での判断は、不動産会社・司法書士・弁護士・税理士などの専門家や自治体の窓口にご相談ください。

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この記事を書いた人

株式会社アクセス・リンク代表取締役。相続と実家じまいの情報を専門に扱う「相続と実家じまいガイド」を運営しています。相続登記、空き家の売却・解体、墓じまい・改葬など、親の実家やお墓を引き継ぐ家族が直面する手続きを調べ、記事にまとめています。法務省・国税庁・自治体などの一次情報を原文で確かめ、1都3県を中心に市区町村ごとの補助制度や相談窓口を整理しています。士業ではないため個別の法律・税務相談には応じていませんが、次に何を確認し、誰に相談すればよいかが分かる情報をお届けします。

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